田植え後の苦言を。
- Daisuke Shirakawa
- 6月6日
- 読了時間: 6分
ボロボロになりながら、田植え終わりました。
アチコチ痛い、ガラスの40代。

今回のコメ騒動。
目立つ大臣になって、注目されておりますが。
論点、大きくは、「流通」と「生産」に分けられると思います。
でもね。
流通の問題って、生産の問題に比べたら超ちっさい問題だと思うのですよ。
僕が生産者だから言っているわけではなく。本気で。
要するに「日本人の主食のお米、国産体制どうするの?」
という問題だと思うわけです。
モノがあってこその流通ですからね。
その場しのぎと言われようと、
その場をしのがないと、次もないでしょ?
と言う人へ。
本当にそんなに困ってる?
コーヒーとお茶をやめて水飲んで。
それでも足りなかったらサブスクの1つでも1年やめてみたら
お米の差額くらい、出ますよ。
そんな余分なお金を普段から使っていない人には、
最近得意技になってきた給付金作戦を使えばいいわけで。
流通で話題もちきりな時点で、めっちゃ不自然。
いろんな考え方があるわけですが。
もう、「高コストな国産米なんて輸入米に駆逐されちまえ」
ってくらい振り切った市場原理主義者の方が、
潔くて好きですわ。(この論に賛成というわけでは無いですが)
中途半端に、
「日本の主食は国産であるべきだ」
「安心安全な国産米が安く食べたい」
「でも農業に税金突っ込むのはやめて欲しい(そんなお金あるなら私に直接メリット欲しい)」
「税金突っ込むんじゃなく、悪い奴がいるはずだからそいつを懲らしめろ」
ってやってる感じ。
この議論やってる限り、主義主張や感情論が全面に出てるので、
絶対に問題は解決しないと思うな。
無慈悲なまでに冷静に、
日本の農業を中山間地の現実から見てみると。
(人)
超高齢化。個人農家は70才以上がほとんど。
その息子世代(40-50代)は非農家サラリーマン。住んでないケースも多い。
引退高齢農家が激増。
共同で実施してきた水路の掃除への参加者が急速に減っている。
(ハード)
水路が老朽化(前回の抜本的な整備から40年以上経過)
→水漏れ水路が激増中。
埋まったままの水路が激増中。
田んぼは40年前よりは大きくなったとはいえ、
少人数対応のために大型化した機械で作業するには小さすぎる。
激増する害獣被害により農地自体を頻繁に重機で整形し直す必要がある。
で。
僕は特に大規模化したいとも思っていないし、
なんならこの現実を見ても国民の98%以上が非農家なので、
「関係ない」って話になるなら、別に僕もどーでも良いです。
なるべく、自分の次の世代に、荒れ放題でコメもろくに作れない
「ゴースト農村」は残したくないなー。と思うけど。
そう思わない人が多いなら、別に良いから、
「僕がやりたい」わけじゃないんです。
「日本人の主食のお米、国産体制どうするの?」
という問いに対して、
一つの視点を提供するくらい。
都会から農村に引っ越して農業やってみた僕ができることって、
これくらいかなって。
ちょいちょい
「お前が良い思いしたいんだったら、こっちも〇〇してほしい、それがwin-winでしょ」
みたいなスタンスの人が居るので、アタマがクラクラします。
繰り返しますが、
僕が「僕のために」言ってるわけじゃないんで。
さて、
先ほど挙げた「人」「ハード」の状況を、まずは直視しましょう。
この状況で
現場で汗をかいてやりたいと思える人を呼んでこれるか? です。
農業を企業に開放せよ、とか、
大規模法人を優遇せよ、とか、
兼業農家を大切にせよ、とか、
新規就農者を増やそう、とか
いろいろな主張はありますし、
どれも否定はしません。
その前に、「このボロボロのハード面」をどーにかしないと、
どのカテゴリの人も、乗り気になれないでしょ。
イメージしにくいかもしれませんので、
無理やりですがアパートで例えてみると。

あなた「安くて住み心地の良い部屋を探してるんです」
不動産屋「ここ、建物は古いけど、立地は自然豊かですよ」
不「ちょいちょい雨漏りするんですけどね」
不「あと、年に1~2回はどこかの水道管が破断してメーターが回りっぱなしになりますけどね」
不「あと、他に住民がいないので、階段と駐車場の掃除は一人でやっていただくことになりますけどね」
不「あと、ほぼ毎年1回は、突風でガラスが割れますけどね」
というようなことです。
農家に補助金出そう、みたいな話がありますが、
それが仮に実現したとして、
不「あ、でも迷惑料・我慢料として家賃安くしておきますから」
という感じですよ。
あなた「・・・他を当たります」
ってなりません?
田んぼが小さい問題だけは、
「小規模農家が大量に発生」するという、まぁ可能性超低いけど、
ありえなくはないから、百歩譲って後回しだとしても。
その小規模農家も「水漏れ水路」は勘弁してほしいですよね。
大規模農家も、こんな状況で
大規模化すればするほど、コストアップ&経営リスクなのです。
まずは水路問題を直視しましょうよ。
川から水を取るための設備が中山間地域はほぼ無いに等しく、
「原始的」な石の堰だったりします。

「人数」が居てこそ成り立つ取水システム。
せっかく取水できても、埋まってる水路、割れてる水路…

莫大なお金がかかります。
埼玉の道路陥没事故関連、300億円もかかるそうで。
限界を超えてからやると、何事も高額になるんですよね。
もうバンザイ。国内生産あきらめよう!
ってなら、それでも良いです。
(それすら意思表示しないと思いますがね)
みんながそう決めたなら、僕なら「新しい機械」への投資は一切やめます。
で、数年間農家続けて、今ある機械のローンを返済し、
いつでもやめられる体制をつくって、あとは自分のタイミングでやめる。
お世話になってる近所の方には悪いけど、
無理なものは無理。
何度も言いますが、
こんなこと生産者の僕としては言いたくないんです。
印象悪くなるだけだし、誰からも原稿料も貰ってないんだから(笑)
ハイリスクノーリターン。
ただ、
コメが安かった2年前にこれ言っても、負け惜しみみたいにしか
受け取られないから、
注目してくれてるこの時期にしか言えないかなってことで。
人のせいにしたって何にも始まらない。
農業のハード面に、血税突っ込む覚悟はあるのか、無いのか。
国産のお米食べてる人みんなの自分ゴトだと思いますけどね。
※これでもまだ「農業ばっかり優遇して…」とか言うならひと言。
「どうぞどうぞ、あなたが農業やってください」です。
あー。感じ悪(笑)
こういう風に、生産者と消費者が対立するのは、最悪ですよね。
Commentaires