地味に始まる12年目
- Daisuke Shirakawa
- 4月11日
- 読了時間: 5分
春ですね。
農繁期が始まっております。
就農から12年目。
お米界隈が騒がれるこの頃ですが、こんなに注目していただいて、
なんかちょっとありがたいですね。
10週連続値上がり~とか。
何十週も連続で値下がりしてた時にはニュースにもなりませんでしたが、ニュースになって農業に想いを馳せる人が少しは増えたのかもしれません。
しかしニュースは現場目線で言うと、全く本質を捉えていない、ろくでもない情報が多いので、この話題には触れたくないのが正直なところ。
ということで、現場目線のリアルな12年目へ(笑)
とりあえず獣害がすごい。

以前の記事でも触れましたが、特にイノシシは、作物を食べる、という以外に「あぜを破壊する」被害が深刻です。
周りが破壊されても、中が大丈夫なら良いのでは?
と思われるかもしれませんが。
田んぼの周りにあるあぜは、その下に水が漏れないようにするとか、大量の水が田んぼに入っても水圧で崩壊しないようにする意味でも、強度が必要です。
加えて、当然草が生えますから、ボッコボコだと草刈りも超絶やりにくい。
さらに、掘り返されて、土の中に埋め込まれていたデッカイ石たちが、表面に出てきていたり、水路に落とされていたりと、アレコレ大迷惑。
大迷惑というか、正直そんなところで、コメ作ろうって気にならない。
だから、山あいの農地では特に、米作りが上手いか下手かとか、豊作か不作か、とかそんなことよりも「作れる環境をキープできるか」の方が圧倒的に重要なハズなのです。
ハズ、と書いたのは、ハンターが少ないし、支援も少ないから、獣害対策の重要性を分かっていないか、分かっていながらもできていないか、という地域が多いので。
今回、めちゃくちゃに荒らされまくって、さすがに非農家の人たちも、散歩中とかに、
明らかに様子がおかしいことに気付いたわけです。
こうならないと気付かないんだよなー。
※だから、こういう「地元が鈍感な」地区で「白川君、うちの田んぼも作ってよ」と言われましても、良い返事はできないんですよね。
ほんとケモノが増えてて、3月から4月(今月)にかけて、イノシシ・シカ・ヌートリアがたくさん捕獲されています。


僕も珍しく(汗)、いっぱい捕りましたよ。

それでも、いっぱい捕れたその檻に、また近づいてきています。

足跡!
どんだけ居るんだよ…
イノシシ対策を夜暗くなってからやってる時に、軽トラのライト付けて作業してたら、
わずかの間でバッテリーあがっちゃって、暗い夜道を師匠の家までブースター借りにトボトボと。
イノシシに襲われないか怖かったけど、スマホの電池も切れそうで、闇の中を歩きましたよ。
就農初年度とか2年目はこんなことしょっちゅうだったので、あまりにも悲惨というかボロボロの状況が、ちょっと懐かしかったです(笑)
しょーもない話は置いておいて。
一番被害がすごかったところは、重機で直しに入ってもらっています。

これ、行政からの補助は無し。
ということは、捕るしかないんです。

地味にヌートリアもやっかいなので、捕れないよりは捕れて良かった…。
こんな獣害対策をしながら、
上がり続けるコストや負担をどう軽減していくのか、
これまでの常識に囚われないチャレンジも同時に行っています。
耕うんを高速化するとか、
苗を作るのをやめて直接田んぼに種を播くとか。
時々、お米を買ってくださる方のリアクションで、
「丹精込めて作ってくれてる」みたいなお言葉を頂くのは嬉しいのですが。
それは「昔ながらの手作業」をイメージされているとしたら、ちょっと違うなという違和感はあるのです。
だって、楽をするためのチャレンジしてますからね。
そうすると、それは丹精込めてない感じになっちゃうのかしら?
なんて。
楽をするなんて言ってますが、ぱっと見派手で分かりやすい部分もモチロンあるし大事ですが、
誰もやらないし、やっても誰も気づかない、スーパー地味なやつも、大事だと思ってて。
この春は「クズ」の根元に除草効果のあるピンを差し込んでいく、というやつを結構やりました。
クズの生命力と繁茂力はすさまじく、草刈りの負担が大きいだけでなく、ツルが伸びてアチコチ行くと農業以外の活動にも支障が出て、いわゆる廃墟発生の原因にもなりかねないやつです。
その根元を探して、まだ葉っぱがグイグイ出てくる前のこの時期にピンを打ち込み、枯らそうという。

猛烈に地味。
僕の田んぼじゃない所ですが、
成功してもたぶん誰にも気づいてもらえない(笑)
獣害対策やらクズ対策やら、見た目の分かりやすさがほぼゼロの作業ばっかりしてるから、
この春は特に何も進んでいないような感じですが、良いんです(笑)
合間に桜も見たし、

自治会長のシゴトもしたし

近所でライブも行けたし。

というか、こういうのの直前や直後にイノシシ捕まえてたりするわけですから、
オンとかオフとかは本当にもうどうでも良いような生活をしています。
お米を届けに行ったら、純米酒を頂いたりして。

(原料渡したら加工品となって返ってきた感)
イノシシの檻の近くに桜も咲いてて。

ここに桜を植える人の美意識、好きだなー。
なんてノンビリしたことを言っていられるのもあと僅か。
集中して農繁期を乗り切ろうと思います。
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